くらし手帖

甲状腺腫瘍摘出手術、子宮摘出手術をうけました。その備忘録と、その後の生活を綴ります。

そこからはあっという間だった

空港に着いて

今までは到着すると
すまんの、と言いながら座って待っていてくれた父はもういなかった

お迎えがなく1人路線バスとタクシーを乗り継いで帰ったのは
初めてだった
3000円ほどかかった

想定はしていた事だったけれど
実家の交通の便の悪さを痛感した

この日は訪問看護や介護の人が入り、ベッドマットなどの交換があった

家の前では私と面談希望した訪問看護と介護ステーションの代表者の方が待っていた

見慣れない景色
物々しい非日常の実家の風景に
いよいよだと気を引き締めた

家に入ると手洗いうがいし、
父のところへ行った

「弱ってしもうた」

なんとなくバツが悪そうに
第一声、そう言った

今でもその場面は忘れる事ができない


「よう頑張ったね」
「もうそばにいるから心配せんでえーよ」
「入院も長いことよう頑張ったね」

ねぎらったら父は嬉しいのか少しはにかんでいた


この日ポータブルトイレで
トイレをした後、
とうとう自力では立てなくなった

女2人の力だと支えるのもきつかった

自力トイレは危なくなり、
オムツかしびんでする事になり
私は尿瓶を調達した

オムツも何枚か持って帰っていたが、腹水でまた膨れたお腹には小さすぎた

でも、
もう尿もほとんど出なくなっていた

尿が出なくなると近い

そんなことはわかっていたから

それでも
今この瞬間はずっとそばにいたかった

にほんブログ村 病気ブログ 末期がんへ
にほんブログ村

PVアクセスランキング にほんブログ村